2020年、使徒との戦いが完結してからすでに5年が経過していた。
 人類はセカンドインパクト、使徒の襲来、そしてサードインパクトを乗り越え平和なひと時を過ごしていた
 そんな、平和な日々の中である作戦が決行されようとしていた…


 Am 6:30、葛城邸・・・
 「シンジ、ちゃんと準備できた?」
 「大丈夫だよ。封筒の数もさっき確認したし」
 「よし、・・・行くわよ」



幸せの作戦 前編    written by メラミ様




「ミサトさーん、起きてください」
 この家の主婦、失礼、主夫、碇シンジが一応の家主である葛城ミサトを起こす。
「・・・・・おふぁよ、シンちゃん、ってまだ5時半じゃない!」
 だるそうに起き上がったが時計を見てミサトは驚いた。
「ミサト、あんた酒の飲みすぎで時計も読めなくなったの!?今6時半よ!」
 シンジと同じくこの家の住人、惣流アスカラングレーが少し苛立ちを見せながら言った。
 ミサトはアスカがこの時間帯に起きてる事に驚きながらも、シンジに、
「早く顔を洗ってください、その…大切な話があるんです。」
 と促されたのでしぶしぶ洗面所へと向かっていった。
(シンちゃんが大切な話なんてね・・・何かしら?)



 ミサトが洗面所からリビングに戻ってくると、シンジとアスカはいすに座っていた
 そこは、緊張感で溢れ返っていた。
 ミサトが2人の前のいすに座ると、
「で、何?大切な話って?」
 ミサトは正面に座っている二人に聞いた
「・・・シンジが言う・・・」
 顔が俯いたまま、アスカが言った。
「えっと・・・その・・・単刀直入に言っていいですか?」
「どーぞ」
 シンジは口を開いた
「僕たち・・・婚約しました」
「・・・へ?婚約?」
「はい」
「シンちゃんと」「はい」「アスカが?」「はい」
「・・・」
「・・・あの、それで結婚式の招待状をミサトさんに・・・」
 シンジはミサトに、招待状の入った封筒を渡した
「一応、3ヵ月後に開こうと思っているんですけど・・・すいません、勝手に日にちとか決めてしまって・・・」
「・・・シンちゃん、私を誘ってくれるの?」
「もちろんですよ、”家族”ですから」
「そっか、ありがとう。ぜっっったい行くわよ!、シンちゃんとアスカの結婚式!」

 急いでネルフに行かないと全員に渡せないので、ネルフに行って来ます 
 と、シンジはミサトに言って、家を出た。
 右手には溢れんばかりの封筒の入った袋を持って、左手はアスカの手を引いて・・・
 残されたミサトは、一人つぶやいた
「幸せか・・・そろそろ私も探そうかな」 


 ネルフ・・・発令所
「へぇー、結婚するのか!シンジ君」
「ははっ、俺たちもう抜かされたのか・・・ちょっとヤバいな」
「おめでとう、シンジくん」
 シンジはちょうどオペレーターの3人に招待状を渡していた
「あの、結婚式来れますか?勝手に日にちとか決めちゃったんですけど・・・」
心配げにシンジは聞いたが、
「大丈夫だよ、みんな予定はないってさ」
 と青葉が言うとシンジはほっとした 
「でも、いつの間にアスカちゃんとそんな仲になったの?」
と興味津々にマヤが聞いてきた
「いや、えっと、その…」
「おいおい、焦らさないで言ってくれよ。俺たちも興味あるんだからさ。」
「そうさ、君とアスカは寄ればさわれば喧嘩だったからね、やっぱり喧嘩するほど、ってやつかい?」
「実は、アスカとは…もう4年ぐらい付き合ってます…」
『4年!』
オペレーターの3人は驚きを隠せなかった
なんせ今まで恋人のような甘い雰囲気になっている所は見たことがなかったからだ
「…シンジ君、それ本当かい?」
半信半疑で青葉は尋ねた
「ほ、本当ですよ!15歳の時僕から告白しましたから…」
「えー、ホント♪シンジ君から言ったんだ!どんな風に言ったの?」
 

とそのとき
「何をしている、ここは用がなければ入ってはいけないことになっているはずだ・・・シンジ」
 シンジは驚いて振り向くと、そこにはシンジの父、ゲンドウがいた
「父さん・・・日向さんたちに用事があったんだ・・・」
「そうなんです、司令。シンジ君は用事が・・・」
 マヤがすぐに弁明に入ったが、
「なら用事が終わったらすぐに帰れ。ここは子どもが入っていいところではない」と言い返されてしまった。
言うだけ言ってそそくさと発令所でようとゲンドウが背を向けると、オペレーターの3人は胸をなでおろしたが、
「待って、父さん!」とシンジは出て行こうとするゲンドウを引き止めた 
「何だ、何か用があるのか?」
 足を止めて振り返るゲンドウに、シンジは招待状を渡した
「今度、3ヵ月後にアスカと結婚式をあげるつもりなんだ・・・だから、父さんにも出席して欲しいんだ」
「・・・」
 だまったまま、封筒を受け取り、中の招待状を見ると、ふっ と笑い
「これは奇遇だな。さっき、金髪の女の子から同じものをもらっているのだが・・・」
 と胸ポケットから同じものを取り出した
(ア、アスカーー!!)とシンジは叫びたかった
「シンジ」「・・・何?」


「幸せにな・・・」「・・・ありがとう、父さん」






 ネルフ・・・自動販売機前
「け、結婚!?」
「うん、そう。結婚するの、シンジと」
 加持リョウジは豆鉄砲をくらった鳩のような顔をしていた
(この子がシンジ君と結婚するとはなぁ・・・)
 目の前には、本当にうれしそうな顔をしているアスカがいた
「アスカ」
「何?」
「家はどうするんだ?葛城の家を出るんだろう?」
「大丈夫、とりあえず今の部屋の3つとなりの部屋に移動する事にしたんだ」
(こりゃ、これから大変だろうな、葛城は・・・)と考えていた
「加持さん、結婚式には来れますよね?」
「ん、あぁ行けるよ。っと、いいのかい?レイが通っていくけど」
「あ、ありがとっ加持さん。ちょっとレイ、待ちなさーい!」
 そばの廊下を綾波レイが通っていたのを加持は見つけて、アスカのターゲットを変えることに成功した
(やれやれ、今のアスカと一緒にいたら結婚したくなっちゃうよ、なぁ葛城・・・)
 だがわずか2日後、加持は婚約を発表することとなる、とても幸せそうな顔で・・・




 ネルフ・・・廊下
「ちょっとレイ、待ちなさーい!」
「・・・何?」
 シンジとアスカと同じくチルドレンの一人、綾波レイは目の前に差し出された封筒に少し困った
「・・・これは?」
「招待状よ、あたしとシンジの結婚式の」
「セカンドと・・・碇君の?」
「そうよ」
「・・・なぜ私に渡すの?」
「来て欲しいからよ、当ったり前でしょ!」
「碇君の許可は?」
「あるに決まってるじゃない!」
「・・・なら受け取るわ」
 そう言うと、アスカの手から招待状入りの封筒を受け取った
 レイはそのまま、じっとその封筒を見つめていた
「いい、絶対くるのよ!」
「ええ、行くわ・・・ただ・・・少し・・・」
「何よ?」
「・・・何でもないわ」
そう言うとレイはまたどこかに行ってしまった
(一体何なの、この気持ち。碇君の結婚式に少し・・・行きたくない。何この気持ちは・・・?)




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☆あとがき・・・・・のようなもの

どうも、メラミです。最後まで読んでいただきありがとうございます
とりあえず、前編はネルフのお話ということです
後編の舞台は、第三新東京市です
楽しみにしてくれたら・・・うれしいです




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