うわぁぁぁん

もう、泣かないの、男の子でしょ?


あぁ、そうだ
これが僕にとって、運命の出会いだったんだ



思い出せないあいつ  補完編    written by メラミ様




十年前、僕は体が弱くて、それのせいでよくいじめられた


そんなある日だった
その日も僕はいじめられていた
でも、その日は違った

「こらー、よわいものいじめするな!」と、突然金髪の僕よりおっきい女の子がやってきて、「せーばいだー!」と言って木の棒片手に、僕をいじめてたやつらをあっというまに追い払った

「あ、グス、ありが、ヒック、とう…」

いじめられて泣いてたから、上手にありがとうが言えなかったけど、どういたしまして、と言ってくれた

「あなた、なまえなんてゆーの?」

「い、碇…シンジ」

「ふーん、シンジって言うんだ、あたしは惣流アスカって言うの!よろしく!」

「よ、よろしくおねがいします…えっと…」

「ア・ス・カよ」

「うん、よろしく…アスカちゃん」

僕とははっきり言って、正反対の性格の女の子には、最初は戸惑った

でも、三十分ぐらい一緒に遊んでいると仲良しになった


どれ位一緒に遊んだんだろう・・・
少なくとも、2時間くらい遊んでいたのだろう
気が付くと、そばのベンチにお母さんが、知らない女の人と座っていた
「あ、おかあさんだ」
僕がそう言うと、アスカも
「ママだっ!」と言った
そう、隣にいた知らない女の人はアスカのお母さんだった
僕は、アスカとまた遊ぶ約束をして、帰った


その後だった、僕はとんでもない事実を知ることとなった
アスカは、自分と同い年だということ
アスカとは幼稚園で一緒だったと言うこと
さらに、お母さんとアスカのお母さん、キョウコさんは昔からの友達だと言うこと
ともかく、その日は最後まで眠れなかった・・・本当に興奮していたから・・・



それは僕の初恋だった
僕は、アスカの目の前ではできるだけかっこつけてみたり、誕生日には贈り物を・・・赤いリボンを贈ってみたり・・・
もしくは、君の好みの人を聞いてみたり・・・
そう、君の好みは僕の人生をすごく大きく変えたんだ
君はこう言ったよね?「あたしね、パパみたいに算数がとーーっても上手な人が好きだなぁ」
・・・僕はその日からすごく算数、数学をがんばったんだ
単純だよね、でもそれでもよかったんだ、アスカに好きになって欲しかったんだ




そして、僕は中学三年生の時数学オリンピックの予選を突破した
その勢いで本選も・・・とはいかなかった
風邪を引いてしまったのだ、この時ほど自分の体の弱さを恨んだことはなかった
あと少し・・・ほんのあと一行書いていれば本選も突破できたのに・・・
結局、僕は本選を突破できなかった





高校に入学した時、アスカの事をすぐに見つけることができた
あの時と同じく、アスカは堂々と、それでいて気品がある・・・何考えているんだ、僕は
アスカを見かけたとき、すぐに話しかけようとした・・・でも、なぜか話しかけることはできなかった
もう、アスカの周りにはたくさんの人がいた
・・・ダメなのかもしれない・・・
そんな風に思った、よく考えてみればこっちが覚えてても、むこうは覚えていないかもしれない・・・
そうやって、僕はどんどんアスカから離れてってしまった・・・




昼休みになったら、数学の本を読む、そんな毎日を過ごしていた
そんなある日だった、アスカが屋上で僕の名前を叫んだんだ
その時、僕は心臓が飛び出るかと思った


でも、その後やってきたのは絶望の海だった
アスカは完全に僕のことを忘れていた
ほおを叩かれたけど、それよりも心が傷ついた

アスカは次の日、謝りにきてくれた
でも僕にとってそれはもう意味のないものだった、謝られたって・・・うれしくもなんともない
なのに・・・アスカとたくさん話した
次の日から、アスカは毎日やってきた
それとともに、気づいたことがあった
僕のあげたあの赤いリボンをまだつけていたんだ!


それから、僕たちの仲は・・・よくなっていったと思う
毎日一緒にお弁当を屋上で広げるようになってきたし・・・

だから、僕は持っている全ての勇気を総動員して・・・告白することにした
今日のお昼休み・・・食事が終わった後に言おう、そう思っていた
でも、アスカがカップルとかがやる「食べさせる」ってやつをして、さらに手まで握られてしまったので、告白は後ですることにした
結局、アスカとはずっと手をつないでた・・・アスカは何も言ってくれなかったけど・・・





三時間後、僕はアスカと出会った公園にいた
アスカは、あんな大声で、「あ、あたしはシンジなんか・・・シンジなんか好きじゃないわよ!!!!」って言っていた
その言葉は、再び絶望と言う名の海に僕を突き落とすには、十分すぎた
ずっと、ずっと泣いていた・・・その時だった



「いたっ!!シンジ!!」
アスカが叫んだ
振り向くと、アスカが・・・肩を上下させていた
僕の心には全く感じたことのない感情が溢れ出てきた
「アスカ、あれって本当なの?」
もう、出たのは、かすれかすれの声だった

「・・・嘘に決まってんでしょ」
その言葉は、僕に勇気と希望をくれた

「シンジ!!あたしは、あたしはシンジのこと・・・」
まずい!先を越されちゃいけない
これは・・・これは僕から言わなくちゃいけないんだ!!




「アスカっ!僕は、君のことがずっとずっと・・・十年前から好きだったんだ!」




fin



☆あとがき・・・・・のようなもの

どうも、メラミです
まず一言、最後まで読んでいただきありがとうございます
この裏設定は最初から決めてました
僕的にはアスカからシンジに告白・・・うーん、シンジからアスカに告白のほうがしっくりきます(笑)
・・・はい、完全に個人的な好みが混ざっていました(汗)



☆向日葵談

メラミ様に素敵な作品をいただきました。ありがとうございます!
アスカよりシンジの方が勉強が得意だなんて、本編と逆ですね。
しかもシンジが勉強を頑張ったのは、アスカのためだったとは。シンちゃん、かわいいなぁ。
素敵なハッピーエンドでした。

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