ここは、第三新東京都市高校、1−Aのクラス



「あーもう!さっぱりわかんないー!」

「確か…なに?この難解さは…」



十年前の・・・ 前編    written by メラミ様




「加持先生の出した、数学の宿題全然わかんない!」
「まさに、手がつけられない、って状態ね」
今、昼休み始まったばかりの教室で洞木ヒカリと惣流アスカという二人の少女が悩んでた
理由は一つ、次の時間の数学の宿題が全く進んでいないからだ




    α、β、γは、それぞれ異なる素数とする
       この時、 αγ−βγ=αβ  を満たすα、β、γを求めよ



「いっそのこと、渚に…ってヒカリ?」
「ダメ、渚君もわからないってさ。今聞いてきたの…」
彼女らが話をしている渚とは、クラスで一番数学の得意な男である
「っ!何よ、役に立たない男ねっ!」
「…彼にはいつも宿題頼んでるんだけど、アスカ」
結局打つ手なし…と思われたが、ふとヒカリが口を開いた

「碇君…ならできるかな…」
「誰、その碇君って!」
アスカはまるで地獄で仏に出会ったかのような顔をした
「いや、私は面識ないんだけど…とっても数学が得意…らしいんだ」
「あのねぇヒカリ、ちょっとぐらい数学できたぐらいじゃダメなのよ」
「で、でもこの前数学の世界大会みたいなのの日本代表になりかけたって聞いたことあるんだけど…」
その瞬間、アスカの顔色が豹変した
「ヒカリ、その大会って数学オリンピックのこと?」
「うん、そうそう!ってあれ?アスカ知ってるの?」
「…うん、少し。じゃそいつに会いに行こう」
と言ってクラスを出た








『し、知らないの!』

ここは2ーC、碇がいるクラス…のはずだが…
「何で知らないのよ!同じクラスメートでしょ?」
「いや、そりゃクラスメートだけど、あいつは社交的じゃないと言うか…なぁ」
「あぁ、あいつは昼休みになるとどっかに行っちゃうんだよ」
ヒカリとアスカは生徒AとBに聞いていた


「はぁー、結局降り出しに戻る、か」
「そうだね、どうしよう宿題…」
「もー、いいや、屋上行って二人でやろ、ヒカリ」
「…そうだね」
二人は対処法がないまま、屋上に行くことにした





屋上…

「んー、やっぱり外の空気はキレイね、アスカ。…どうしたの?」
「そりゃ空気キレイだけどさ…ああゆうのがいるとやなのよ」
と言ってアスカが指差した先には…
髪は少しぼさついていて、何か音楽をききながら何か本を読んでいる陰気な男がいた
「あぁぁ、こっちまで陰気になる…」
「いいじゃん、アスカ、気にしない気にしない、ね」
「わかったわよ、じゃさっさとはじめましょ」
と意気揚々と宿題を始めた






30分後…

「・・・」
「どうすんのよヒカリ、全く進まないじゃない」
「そうね…」
三十分用いても全く進んでなかったらしい
「あぁーもう!碇とか言うやつ、さっさと出てこい!」
「アスカ、そんなに叫ばなくても…」
と、その時だった

「あ、あの何かようでも?」
と、さっきの陰気な男が声をかけてきた
「ハァ?あんた誰よ、邪魔しないでよ!今忙しいの!」
「待って、アスカ!もしかしてあなた、碇シンジ君?」
「え、あ、はい。僕が碇です」
その瞬間、ヒカリの顔が輝いた、が

「はん、嘘でしょ」
と、アスカは言った
「どうせ、自分が碇だって言えばあたしたちに声かけられるとか思って言い出したんでしょ?あぁ、やなやつ。もし、それでも自分が碇シンジだって言うならこの問題…って何やってんのよ!」
アスカが話している間、その男はアスカのノートに文字を書いていた
「ちょっと!」
「はい、できたよ、アスカ」
と、その男はシャーペンを置いて、
「素数の約数の性質を使った問題か・・・うん、少し面白いね」
と言って、建物の中に入って行った・・・とおもいきや、

「・・・ちょっと待ちなさいよ」
アスカはいい、シンジに向かって歩き出した
そして、シンジの前で止まった

と、思いきや、

バチン

思いっきりシンジのほおを叩いた

「な、何だよ?」
「あんた、何勝手にあたしのこと"アスカ"なんて呼んでるのよ!馴れ馴れしいのよ!」
「え、でも・・・わかった、そう・・・だよね、"惣流"さん。ごめん」
そう言うと、碇は再び建物の中に入っていった


少し時をさかのぼって、ヒカリは、碇がノートに書いたものに目を奪われていた
「す、すごい・・・」
そこには、ノート半ページ分にずらずらと書かれた解答があった
「こんな答え方があったなんて・・・ねぇ、アス」
いつの間にか、そこにはアスカの姿はなかった
アスカは、碇の目の前にいた
そして・・・

バチン

解答を記してくれた碇を叩いたアスカの行動が、ヒカリには全く理解できなかった
アスカが戻ってくると、
「アスカっ!!」
「何よ、ヒカリ」
ケロっとしたアスカの顔がヒカリのかんにさわった
碇は、もう校舎のなかに入っていっていた
「何で叩いたのよ!」
「だって、ホントにああいうのって嫌になんだもん。何が「はい、できたよアスカ」よ。いつからあたしとあいつはそんな仲になったのよ」
あぁ、そういえば・・・
ヒカリはよくよく考えてみた
アスカははっきり言って学年の中で一番人気のある女子といっても過言ではない
だから、色々な男子が言い寄ってくる
中には馴れ馴れしく接してくるやつもいる
アスカはそういう人を異常なまでに嫌悪している
よってさっき碇君を叩いた・・・と言う訳か
ヒカリはやっと理由がわかった
「・・・アスカ、あなたはさっきの碇君みたいに馴れ馴れしい人が嫌いなのは私も知ってる。でもね、いくらなんでも宿題を手伝ってもらっておきながら感謝の言葉なしっていうのはひどいと思う・・・」
ヒカリは静かにアスカに話した
アスカにはこうゆう風に話すとおとなしく聞いてくれるのは、中学からの友であるヒカリがよく知ってる
「・・・・」
「後で謝りに言ってきたほうがいいよ」
「わかった・・・明日謝りに行く」
こうして、アスカと碇、いやシンジとの歯車は"再び"動き出したのである





惣流宅・・・アスカの部屋
「はぁー、今日は散々な日だったなぁ・・・」
アスカは昼休みのことを思い出していた
「あいつは・・・きっと明日も屋上にいるよね・・・その時謝ろう」
ふとアスカは、自分の机をみた
自分の机には小学校の頃の写真が置いてあった
「・・・誰だっけなぁ、あたしの隣にいる男子か女子かわからないやつ・・・まぁいっか」
その写真には、元気いっぱいのアスカと、隣にはとてもおとなしそうな男の子がはにかんでいた




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☆あとがき・・・・・のようなもの

どうも、メラミです
前編読んでくださいましてありがとうございます

後編も読んでいただけるとうれしいです(笑)


ちなみに、アスカたちが解けなかった問題ですが、
「解答が欲しい」「興味がある!」等のことがあればメールをください、解答を送ります(テキストファイルで送ります)
間違えていることはないと思いますが、何か疑問等ありましたらどうぞ




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