やっと気づいたんだ…    written by MAGI様


西暦2015年
人類はすべての使徒を倒した。
だがそれは、無残な戦いの始まりにすぎなかった。
なぜならば、今度の敵は自分たちと同じ血が流れてる人間なのだから・・・・・






特務機関ネルフは戦略自衛隊によって窮地に立たされていた。
「エヴァ初号機にシンジ君を二号機にアスカをエントリーさせて!!」
葛城ミサトは半分叫びながらオペレーターたちに指示をしていた。
だが返ってきた言葉は無情なものだった
「二号機パイロットは303号室にて投薬中、初号機パイロットは現在ルート509にてうずくまっています」
「なんですって!!」
「アスカの投薬を中断させて、二号機にエントリーさせてエヴァの中が一番安全だわ」
シンジ君は戦自の近くにいる・・・・このままじゃ殺される!
「シンジ君は私が連れ戻します!!」





そのころ、初号機パイロットの碇シンジは・・・・
「僕がいるとみんなを傷つけてしまうだけなんだ」
「だから僕はいない方がいい」
「死んだ方がいいんだ」
「誰か助けてよ」と心の叫びをつぶやいていた。
とその時、「初号機パイロット発見」と冷酷なまでも響く声が聞こえた。
そう、戦自がシンジを発見したのだ
「坊主には死んでもらう。悪く思うな」
と銃口を頭に突き付けたとき・・・・・
男が血をふきながら地面に倒れこんだ。
「悪く思うのはあなたたちよ」
ミサトが間一髪のところで間に合ったのだ。
「ごめんね シンちゃんは家族なのに何にもしてあげられなくて・・・・・・」
そう言ってミサトはシンジを抱きしめた。
「ミサトさん・・・」
シンジの目から心の壁が崩れさるように、ぽつりぽつりと涙が流れ落ちる。
ほんとに今まで辛かった。
誰かに助けてほしかった、人を殺してしまった。
寂しかった。
シンジは自分の心があるがままにミサトに伝えた。
ミサトはそれをまるで本当の家族のように姉のように母のように受け止めた。
そして、自分自身もシンジに伝えなければいけないことを話し始めた。
「シンジ君、人は何度も過ちを繰り返す生き物よ」
「そのたびに自分を苦しめたり死ぬなんて言わないでこれは家族としてのお願い」
「もう一つは葛城ミサトとしてのお願いがあるの」
「お願いだからアスカを助けてあげて・・・」
シンジには理解できなかった、あれだけ僕はアスカにひどいことをした。拒絶された、アスカを傷つけることしかできない僕に・・・・
助けることなんてできるはずがない、もし助けたとしてもまた傷つけてしまうのではないか・・・
シンジの心の中では葛藤が続いていた。
だが、ミサトの一言でこの葛藤が中断させられる。
「アスカはシンジ君のことが好きだったのよ」
「そんなはずあるわけないじゃないですか」
「じゃあ、なんであんなにシンジ君がほかの女の子と話してるだけであんなに機嫌が悪くなるの?」
「わかりませんよ」
「あともうひとつ決定的なことがあるわ」
「アスカが精神汚染を受けて入院している時に夜になるたびに私とリツコと加地でアスカのお見舞いに行ってたの」
「そこでね、当然アスカは投薬中だから目は覚まさないけど、ずっと泣きながらうわごとのように言ってたことがあるの」
「シンジ助けてよ。アタシを一人にしないで」
「バカシンジ・・・・って言って涙流してるのよ」
「アスカがそんな助けを求めてたなんて気付かなかった」
傷ついて助けを求めていたのは僕だけではなかった。
それなのに僕は、手を差し伸べるどころか拒絶してしまった。
僕は、自分だけが辛いと思ってた。
今度こそアスカを助けなくちゃ!!
「それに、あの子意地っ張りだしプライド高いから」
「シンジ君を拒絶してたのも愛情の裏返しってやつかしら」
そして、急にシンジが立ち上がった。
「ミサトさん僕もアスカのことが好きです」
「そして、今度こそアスカを守ります」
いきなりのことにミサトは拍子抜けしてしまったが
「じゃあ初号機のとこに行きましょう」
と言いながら愛車のブルーのルノーに乗り込んだ。





そのころ、アスカはエントリープラグの中にいた。
「しんじぃ 助けてよ」
「怖いよ 死にたくないよ」
「もう一人はイヤァーーーーーーー」
突如アスカの目の前が真っ白になり落ち着いたと思ったら誰かが話しかけてきた。
その声は、どこまでも優しくどこまでも愛情に溢れていた。
「アスカちゃん」
アスカのことをアスカちゃんなんて呼ぶ人は一人しかいない。
そう、アスカの母親の惣流・キョウコただ一人しかいない。
「ママなの?」
「そうよ ママよ」
「逢いたかったよ。ずっと逢いたかったよ」
「ごめんね。寂しい思いさせて辛い思いさせて」
「本当にごめんなさい」
「ううん 精神汚染を受けたのはのアタシのプライドと弱い心のせいだから」
「でもなんで、ママがエヴァの中にいるの?」
「それは、アスカちゃんが小さい頃にエヴァに取り込まれたからよ」
「なんで、ママがそんなことしなくちゃならなかったの?」
アスカは二度と流さないと決めた涙が眼から流れ出しながらキョウコに訴えた
「そんな悲しい顔しないでアスカちゃん」
「でも悲しいことばかりじゃなかったわ。エヴァの中でアスカちゃんの成長を見届けられたし、それに一緒に戦ってたから」
そこで、アスカは気づいた。
アタシは一人じゃなかった!ずっとママが見てくれてた!
「見てたのは、私一人だけじゃないわ」
「え?」
「どおいうことママ?」
「シンジ君よ」
「そんなことあるわけないじゃない」
「シンジ君はあなたのことをパイロットでもなく天才・美人のあなたでもなくちゃんと「惣流・アスカ・ラングレー」としてみてくれた」
「だからあなたはもう一人じゃないわ」
「シンジが・・・・」
「もうあなたも気づいてるんでしょ。自分の気持ちに・・・」
「シンジ君のことが好きなんでしょう?」
「あんなバカシンジなんて・・・」
「自分の気持ちに嘘付いちゃだめよ」
「あたしはそんなこと・・・」
「わたしをだれだと思ってるの?アスカちゃんの母親よ」
「あなたの心なんてお見通しよ」
そっかアタシシンジのことが好きなんだよね
「そうだねママ」
「じゃあ行きましょうか。戦いを終わらすために」
「うん!!」
そうして二号機は発進していった。(出撃するときにいろいろな物をしていったのはまた別のお話)





そのころ、ミサトとシンジは車で進入しエレベーターの前まで歩いて来ていた。
ミサトは考えていたまたこの子を傷つけてしまうかもしれない。今度は人間が敵だから
シンジ君は人を傷つけることを極端に嫌っていた。それにくわえ、人が傷つくくらいなら自分がというのがシンジの性格だから・・・・
でも、今回の戦闘はゼーレが絡んでいる以上エヴァシリーズが来る!
だから初号機なしでは勝ち目はないと考えを巡らせていた。
「ミサトさん、僕はアスカやミサトさんたちを守るためなら何でもします。」
「大切な物を守るためにエヴァに乗ります。」
「だから、あまり悩まないでください。」
シンジは自分の決意を語りながら微笑んだ
「私にはこんなことしか言えないけど必ず生きて帰ってきて「いってらっしゃい」」
と言って抱きしめた。
「わかりました。必ずアスカと二人で帰ってきます。」
と言って離れようとした瞬間「あぶない!!」急にシンジが叫んでミサトの前に立ちはだかった。
銃声が二発薄暗い通路で響いた。
ワンテンポ遅れてミサトが気づいて戦自を射殺した
「うっ・・・・はぁはぁ」
「シンジ君!!」
シンジは右腹部に一発右肩にかすり傷を負っていた。
幸いシンジの右腹部の銃弾は打ち抜かれていたため銃弾は体の外に出ている。
「くそ ミサトさんなにか血を止めるもの持ってません?」
苦痛に顔をゆがめながらシンジはミサトにうったえた。
「ゲージに行けば大きい傷口用パッドがあるはずよ」
二人はゲージに向かいながらまた話していた。家族の時間を取り戻すように・・・
「ごめんなさい。私が気づいていればこんなことには・・・」
「いいんですよ。ミサトさん」
「僕は、さっき守るって決めましたから」
「でもそんな無茶しちゃだめよ」
「ごめんなさい」
「さぁ着いたから傷の手当てするわよ」
「はい」
「シンジ君とりあえずワイシャツ脱いで消毒するから」
シンジがワイシャツを脱ぐとすぐに消毒が始まった。
シンジは苦痛に悶えながら涙を流していた。
それもそのはずだろう、軍人でも銃弾をくらったところを消毒なんてしたらただ事じゃない。
でも、シンジには分かっていた止血しないと戦えない、アスカをちゃんと守れないことを・・・
それにしてもこの光景は普通の人が見たらただの拷問としか見えないだろう。
数分が過ぎたころ消毒も終わった。
「シンジ君パッドをする前にワイシャツを着て、少しでも止血したいから」
「わかりました。」
ワイシャツも着てパッドもつけて包帯でぐるぐるにされ止血は終了した。
「これで、初号機に乗れますね」
「無理よ!こんな体で!」
「反対しても僕は行きますよ。好きな人を守るために」
ミサトは思ったどうしてこう自分たちの周りには馬鹿な男しかいないのだろうか。
あいつもそうだった。そう加地も・・・・
「それに・・・母さんもいますから・・・」
「え?」
「初号機の中には母さんがいます。僕が初号機に取り込まれたときに母さんが教えてくれました。」
「そう・・・・」
ミサトは妙に落ち着いた「お母さんがいればこの子も大丈夫ね」
「じゃあ行ってきます。ミサトさん」
シンジはエントリープラグに乗りこんだ。
エントリープラグが挿入されるとシンジが言った。
「母さん また僕に力を貸してくれる?」
「今度は大切な人好きな人を守りたいんだ」
シンジがそう呟いた瞬間にLCLがドクンと揺れた。
「ありがとう 母さん」
「じゃあ行こう!」
そして、初号機が戦場に向かって行った。





そのころ、アスカは覚醒していた自分はもう一人じゃない事に気づいた少女には戦自は敵ではなかった。
「あんた達なんに負けてらんないのよ!」
「そんな攻撃でATフィールドが破れるわけないのよ!」
次々に戦自の武力をそいでいく、でもそれは突然に起きた。
戦自が後退し始めたのだ。
空に翼の生えた9体のエヴァが輪を描いて飛んでいた。
「エヴァシリーズ!!」
そして、アスカとエヴァシリーズの攻防が始まった。
「こんちくしょー」
二号機がエヴァシリーズの頭部を吹き飛ばしていた。
でも、確実に押されていた。
それもそのはず今までずっと投薬され病院のベットで過ごしていたのだから。
「くっ」
エヴァシリーズの蹴りが二号機の腹部に直撃した。
アスカは痛みに顔をゆがめた。
それもそのはず、いつもの倍以上に二号機とシンクロしているのだから、フィードバックも大きい。


突如、アスカの耳に聞きなれたあいつの声が・・・一番聞きたかった声が聞こえてきた。
「アスカッ!」
そこには、紫の巨人が立っていた。
「アスカになにすんだよ」
目の前の敵が吹っ飛んだ。
「なにしに来たのよ!!」
「アスカを助けに来たんだよ」
「はん!あんたなんかに助けられるなんてあたしも落ちたものね」
「ごめん。でも勝手に守らさせてもらうよ」
「勝手なことすんじゃないわよ」
「お願いだから守らさせてよ。好きな人が目の前で傷つくの見てられないんだ」
「は?アンタ今何ていったの?」
「だから、アスカのことが好きだって言ったんだよ!」
「やっと気がついたんだ・・・大切な人のこと」
「遅いわよ ばか・・・」
消えそうな声でアスカが答えた。
「え?」
「だから、アタシもアンタのこと好きだって言ってんでしょーが!」
「女の子にこんなこと言わせないでよ」
「ごめん ありがとう」
「じゃあそうとわかればこいつらさっさとかたずけるわよ。バカシンジ」
「うん じゃあ久しぶりにユニゾンで倒そうか」
「ボケボケシンちゃんにしてはいいこと言うじゃない」
「なんだよそれー」
「「ははははは」」
二人は思いっきり笑った。
そう、やっとつながった心を祝福するかのように・・・
「「じゃあ62秒でケリをつける「わよ」!!」」
それからの二人は無敵だった。
どんどんエヴァシリーズなぎ倒されコアを破壊されていった。
とうとうエヴァシリーズも最後の一体になった。
「「これでラストー!!」」
おきまりのユニゾンキックでエヴァごとコアを破壊した。
「今度はちゃんと着地できたわね!」
「アスカ ごめん」
「え?」
突如、初号機が地面に倒れこんだ。
「ちょっとシンジ!?」
「ごめん自分でエヴァから出られそうにないんだ。助けてくれる?」
それもそうだ、戦自から受けた銃弾の傷を止血しただけでこんな激しい戦闘をしたのだから
「なによ だらしないわねー」
と言いながらもアスカは気になっていた。
さっきからシンジの息遣いが荒いこと、それに今まで自分と通信をするときに必ず映像も付いていたのに今回は音声だけだった。
シンジはなにか隠してる。
アスカは恐る恐る初号機のエントリープラグのハッチを開けた。
そこには、申し訳なさそうにしているシンジがいた。
「はぁー勘違いか・・・・ん?」
なんでこんなにLCLが真っ赤なの?
LCLを排出させながらアスカはシンジの全身を見た。
コイツ!!なんでこんな怪我してるのよ!!
「なんであんたそんな怪我してるのよ!!」
「戦自からミサトさんかばったら撃たれちゃって・・・ははは」
「なに笑ってのよ」
「なんでこんな無理したのよ バカ」
「アスカを守りたかったから」
「もうほんとバカなんだから・・・・」
「ちょっアスカ!?」
「心配させた罰よ」
シンジはアスカに抱きしめられた。
「ごめんね」
シンジも抱きしめ返した。ちょっと傷口が痛かったけれど、この幸せを離さないように・・・
「助けてくれてありがと・・・」
「うん」
今の二人にはこの言葉だけで十分だった。
だが、二人は忘れていたそうここには『からかいお姉さん』がいることを・・・・・
「あらー二人とも熱いわねー」
「お姉さん妬けちゃうわ〜」
「「ミサト(さん)」」
真っ赤になった二人を見てミサトはお腹を押さえて笑っていた。
でも、まだ二人には嬉しいことなのか恥ずかしいことが起きようとしていた。いやもう起きてしまったが・・・・
「シンジも大胆になったわね〜母さんびっくりしちゃった」
「ほんとね〜アスカちゃんも大胆だわ」
二人はいきなりのことに訳がわからなかった。
「「??」」
エントリープラグの中からも見える位置に二人の女性が立っていた。
「「母さん?(ママ?)」」
「「ただいまシンジ(アスカちゃん)」」
親子揃ってユニゾンしていた。


これからは二人には大きな幸せが待っているだろう。
そう、やっと気づけたのだから「しあわせ」に


二人に幸あらんことを・・・・・・




...終



☆あとがき

はじめましてMAGIと申します。
今回初めてこのような小説を書かせていただきました。
ほんとに我ながら出来が悪すぎて恥ずかしいです。はい
向日葵さんいきなりこのようなまとまりのないものを送ってしまってごめんなさい。
さて、今回の小説は旧劇場版のLASバージョンだと思っていただければなと思ってます。
テーマとしては、かっこいいシンジ・愛・家族です。
僕としては、旧劇場版はこのように終わってほしかったんです。
LAS人なので・・・
それと、今回はポルノグラフィティの『ROLL』をイメージして書きました。
この小説を読むときに一緒に聞いていただけると感情が入りやすいと思います。
こんな勝手に注文付けてすみません・・・・・・・
次はもうちょっと腕を上げたいMAGIでした。



☆向日葵談

いつも応援してくださっているMAGIさんから、素敵な作品を頂戴いたしました。
なんでもこれが初作品だとか。
これ以上ないくらい、希望がいっぱい詰まったお話で、
きっとMAGIさんご本人も夢と希望をいっぱいお持ちの方なんだろうなぁと
勝手に想像してしまいました。
なぜなら、私にはこんなハッピーなストーリーは考え付かないもんw

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